「しずむ夕日が立ち止まる町」と称される愛媛県伊予市双海町。何ひとつ遮るものがない伊予灘の海は、空と海の境目が溶け合うように美しく、多島海で知られる瀬戸内では珍しい風景だ。夕暮れ時のJR下灘駅のホームと電車の影が夕日の橙に移り込む風景は幻想的でどこか懐かしい。一次産業が盛んな双海町は、鱧を始めとする水産物から柑橘や栗といった農産物まで里山・里海の豊かさがある。しかし、今やほとんどの市町村が抱えるであろう、過疎化や高齢化といった課題に双海町も例外なく直面している。