2023.10.20

さあ感動をつめよう! 愛媛・南予初! クラフトビール醸造所謹製

愛媛県大洲市内中心部を流れる肱川には、古くより龍がいて、水の恵みをもたらしたとされる「臥龍伝説」があります。その肱川の淵に位置する明治39年に建てられた赤煉瓦倉庫をリノベーションして、クラフトビール醸造所とタップルーム(ビアバー)&カフェを開設した株式会社アライの工場長 梶原 玉男(かじわら たまお)さんにビール造りへの思いをお聞きしました。

 

2023年5月22日(月)南海放送ラジオ「『22_Ehime』モノ・がたり」より

聞き手 南海放送ラジオ「Tips」プレゼンター百合田 彩

今回お話を聞いた方
株式会社アライ 工場長
梶原 玉男さん
Tamao Kajiwara
愛媛県大洲市で食品容器(PSP製折箱、紙製重箱)などの製造や障がい福祉事業を手掛ける株式会社アライ。町おこしと障がい者への就労機会の提供を目的として、クラフトビール製造・販売の事業を展開している。
愛媛県大洲市で食品容器(PSP製折箱、紙製重箱)などの製造や障がい福祉事業を手掛ける株式会社アライ。町おこしと障がい者への就労機会の提供を目的として、クラフトビール製造・販売の事業を展開している。
百合田 早速ですが、株式会社アライさんが『22_Ehime』に出品されている商品をご紹介します。臥龍醸造「臥龍クラフトビール 4本セット」送料・税込み5,300円。

特徴のある4つの味の違いを楽しむことができますね。事前に「ベルジャンホワイト」と「アメリカンレッドIPA」の2種類を試飲させていただいたのですが、「ペルシャンホワイト」は、ホワイトビールということもあって、口当たりが本当によくて、ビール特有の苦みがほとんどないので、ビールが苦手という人でもいただけるのではないかと。軽くて、スイスイ飲めました。
梶原  「ペルジャンホワイト」は小麦を使っていて、オレンジピールとコリアンダーを少し足しています。ビールの苦みがほとんど感じられないようにして、その製法で柑橘系の香りとスパイシーな後味が楽しめる、ビール初心者や苦手な方にも美味しく飲めるビールになっています。

百合田 「アメリカンレッドIPA」は、重みとか苦みがしっかりありますが、飲んだ後の後味がすっきりしていて、不思議な感覚でした。
梶原  IPAというのは、ホップを大量に使っているので本来苦いビールなのですが、苦みを出さないようなホップの使い方をしていて、それにカラメルモルトといって焙煎をした麦芽を使っています。そうすることでモルトの甘味とホップの苦みに、さらに焙煎した、香ばしいような味が合わさっています。香りも豊かで、口の中で焙煎したモルトが感じられて、飲みやすいビールになっています。

百合田 ビールは330ml入りで、いつもこれぐらいの量で私は満足するのですが、あまりに美味しくて2本続けて飲んでしまいました。

梶原  ありがとうございます。
百合田 改めて、株式会社アライ様のご紹介をよろしいでしょうか。

梶原  当社は大洲市に本社があり、駅弁、デパ地下弁当に使われる折箱やおせちの紙製重箱などを作っています。また、グループ会社で障がい者福祉事業をやっていまして、アライの工場の中でも障がいのある方々に働いていただいています。そうした中、大洲城下町の観光資源の存続と地元の新たな特産品を作りたいという話が持ち上がりました。そこで、町おこしと障がいのある方々への就労機会の提供という、この2つを結び付けて、クラフトビール造りが始まりました。
百合田 場所もいいところですよね。

梶原  クラフトビールを造っている建屋は、明治39年に建てられた赤レンガ倉庫ですが、明治から昭和の初期にかけて、あの一帯に絹の糸を作る工場がありまして、その繭の倉庫として使われていました。最近は老朽化が進む中、地元有志の方による城下町一帯の伝統的建物の保存活動のおかげで、リノベーションができ、「臥龍レンガ倉庫」として生まれ変わりました。1階を醸造所、2階をビールやカフェを楽しむ飲食スペースにしています。

百合田 建物も場所もいいところにありますよね。

梶原  大洲城や臥龍山荘など一帯が観光地になっていて、分散型のホテルや飲食店、雑貨屋さんがたくさん並んでいます。

百合田 臥龍クラフトビール、「臥龍」ってつくと大洲だなって感じがします。

梶原  大洲の中心部に、肱川という川が流れていますが、大昔日照りが続き井戸が枯れ果てて、村人たちが困っていた時、肱川の淵から龍が昇って雨を降らしたという「臥龍伝説」が今も語り継がれています。地元に根ざした事業を行いたいとの思いから、この伝説にちなんで「臥龍醸造」と名付けました。
百合田 ここで改めて、4本セットのビールをご紹介いただけますか。

梶原  ①「ガリュウ ペールエール」。これが一番スタンダードな、イギリス発祥の伝統的なクラフトビールです。琥珀色のビールで、ホップとモルトの豊かな香りがフルーティーに調和して、苦みもありながら飲みやすいビールになっています。
②「ガリュウ ベルジャンホワイト」は小麦を原料に使っていて、ベルギーでは人気のスタイルのビールで、ビールの苦手な方も飲みやすい、苦みのない仕上がりになっています。
③「ガリュウ IPA」。IPAはインディアペールエールの略です。アルコール度数が高めで、濃い褐色のエールビールです。18世紀末にイギリス人が、当時の植民地だったインドにビールを輸出する時に、ビールが傷まないようホップを大量に使って、アルコール度数を高めたビールに仕上げました。たくさんホップが入っているので、とても苦みが強くて、ビール好きにはたまらないものになっています。
④「アメリカンレッドIPA」。IPAとついていますが、最近アメリカで流行っているスタイルの造り方で、ホップは多めですが苦みはあまり出さないようにしています。焙煎したモルトを少し入れ、レンガ倉庫をイメージできるような赤みをつけて、「レッドIPA」という名称にしました。
百合田 綺麗な色味ですね。ちなみに、梶原さんはどの味がお好きですか。

梶原  私は最後に紹介した「アメリカンレッドIPA」が好きです。焙煎されたカラメルモルトのちょっと香ばしい、口の中に広がる感じが、普通の市販ビールにはない格別な味ですね。

百合田 ビール造りって簡単にできるものではないと思うのですが、商品開発は大変だったのではないですか。

梶原  商品開発もそうなのですが、最初の醸造所の立ち上げの時から苦労しました。建物をリノベーションして醸造タンクを搬入する際、狭いレイアウトの中で、タンクのそれぞれの位置関係や水平を出すのを私がしたのですが、なかなか思う様にできず大変苦労しました。また、組立配管は業者の方と一緒にしたのですが、正式な図面と言うものがなくて、パーツをひとつひとつ確認しながらどこをつなぐのか考えながらの作業でした。設備が稼働したときは本当にほっとしました。

百合田 それは大変でしたね。

梶原  また、雪が降ってとても寒いときにビール造りに使う酵母が上手く発酵せず、醸造に失敗しました。その後、低温対策をして改善したのですが、やはりビール造りは温度管理が非常に大事なのだと実感しました。クラフトビールは1回1回手作りなので、正直、今回はいい感じに仕上がった、今回はちょっといまいち、ということがあります。それもクラフトビールの面白いところですが、その完成度を高めていくことがこれからの課題だと思います。

百合田 そうしたドキドキハラハラがありながら出来上がった1本1本なのですね。

梶原  クラフトビールの飲み方は、まず色を見て、香りを楽しんで、口の中で味を楽しんで、飲み込むときののどごしを楽しんで、最後鼻に抜ける香りをもう一回楽しむ。そうした飲み方をしていただきたいと思います。それから、グラスに入れて色を見ながら飲んでもらいたいですね。

百合田 最後に、今後の目標や直近のイベント紹介などありましたらお願いします。
梶原  今年は5月28日 日曜日の大洲市での「肱川かわびらき」で臥龍ビールの「瓶」の販売をします。あと、6月には東京恵比寿での「ジャパン・ビアフェスティバル東京2023」に出店します。私も行きます。全国約30のブルワリーが集い、約100銘柄のクラフトビールが楽しめるイベントです。(いずれのイベントも終了)

百合田 楽しそうなイベントですね。

梶原  そして、新作が先日完成しました。大洲産シルクパウダーを使った「大洲シルクエール」という商品です。なめらかでのどごしの良いビールに仕上げました。6月上旬から発売です。(現在も発売中)最後に、今後もさまざまなイベントに出店したいと思いますので、出店して欲しいという方がいましたらご連絡いただくと嬉しいです。

百合田 今日のゲストは、株式会社アライ 工場長の梶原 玉男さんでした。ありがとうございました。